縁ある人々の作るコーヒーを買う

初めて行った産地はメキシコだった。

2006年のこと。関わっていたフェアトレードプロジェクトの

一環で、グアテマラの国境に近いチアパス州の先住民の生産者

組合を訪れた。

メキシコにある33州の中で最貧民州と聞いていた。

当時、電気も水道もガスもほとんど通っていないというところに

生産者は住んでいた。コーヒーを作って売ることが彼らにとって

外貨を得るほぼ唯一の手段であったと思う。

 

会合を持った生産者組合はマヤビニックと言った。

Mayaマヤ Vinic人々 「マヤの人々」という意味である。

訪れる前からこちらのコーヒーは縁あってずっと焙煎していた。

バランスのとれた飲みやすいコーヒーでお客様の評判もよく、

気に入っていた。

なので、このコーヒーを作っている人たちに会えることを

心から楽しみにしていたのだ。

 

会合はスペイン語から先住民言語であるツオツイル語に通訳して

もらいとても時間がかかった。(生産者の殆どがスペイン語を

話せないからであった)この時はまだ意思の疎通というものを

あまり感じることができなかった。

 

「コーヒーは品質が一番大事」という認識は殆どなかったように

思う。品質の良いものを作れば、そのコーヒーは少しでも高い

価格で消費国に売ることができるという「共感認識」を得る

には、とても時間がかかることだとわかった。

 

とはいえ、彼らには彼らの流儀でコーヒーを作っているし、

私も生産国について、まだ知らないことが多過ぎた。

これから時間をかけて、この人たちが、おいしいコーヒーを作る

ようになるよう、私は自分にできること、つまりは、彼らのコーヒーを

焙煎し、多くの人々に飲んでもらい、おいしいと言ってもらえ、また

買ってもらえるように伝えていこうと決心したのだった。

 

それから13年。毎年マヤビニック生産者協同組合の生豆を買い

焙煎し続けている。

 

しかしながらこれ以来、メキシコを訪れてはいない。しかしながら

先述のフェアトレードプロジェクト出身で今は生豆の輸入・販売を

行なっている株式会社豆乃木 杉山世子さんが、年に2回はメキシコの

生産地を訪れ、生産者とコミュニケーションを図り、輸入の契約も

行なってくれている。杉山さんの産地訪問とできる限りの絶え間ない

生産者たちとのやりとりによって「コーヒーは品質が一番大事」への

合意は、もう少し先に見えてくるのではないかと思っている。

 

 

 

 

 

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